妄想癖。(あるいは茅穂のラヴ・メリーゴーラウンド)

★ 体をつなげるのは簡単なのに、恋をするのは難しいね。私たちは弱い皮膚を擦り合わせるだけで精一杯だから。 ★

制服の男の子。

 昨夜、20時少し前にシノくんが私の部屋に来た。
 いつもはジーンズにコートなのに、今日は制服を着ていた。卒業式は終わったんじゃないのと尋ねると、高校の友達と制服写真撮影会をしていたのだと言う。
 「そんなの着てると、なんか普段と違う」
 私は、膝を抱えてソファの上で小さくなった。カナエちゃんといやらしいことをしたソファに、今はシノくんと座っている。
 「服が違ったって、中身は同じでしょ。チホさん、どうしたの」
 シノくんは、目をそらす私に困ったように手を差し伸べた。中身ってなによ。別にシノくんじゃなくっても構わないのに。まるで自分を必要とされてるみたいな言い方しないでよ。残酷な、気持ち。彼を傷つけても自分が幸せになれるわけじゃないのはわかってた。シノくんは、私みたいな子じゃなくて、もっと優しくてかわいい女の子と一緒にいるのが似合う。なのに、どうしてこの部屋に来るんだろう。答えは簡単。この部屋には「簡単にやらしてくれる女」が住んでいる。つまり、茅穂。
 シノくんの着ていた制服は、私のいた高校とはぜんぜん違う。でも、だからこそ、お兄ちゃんのブレザー姿を思い出していた。結婚するって。言ってたの、うそだよね。まだ、信じたくない。信じられない。
 結婚しちゃうなら。どうせ誰かのものになっちゃんだったら。最後に1度だけでいいから、最初で最後だから、茅穂のこと抱いてくれたらいいのにな。そんなの、無理? うん、わかってるよ、お兄ちゃん。
 「チホさん、大丈夫?」
 何も知らないシノくんは、私の肩を抱いた。暖かな腕が無性に私を苛立たせた。なぜあなたは私を誤解しているの。私はあなたが思うかわいい女の子なんかじゃない。わかってるくせに、どうして勝手に幻想を見るの。腹が、たつの。
 ねえ、シノくん。いつもと違うこと、しよっか。
 私は彼を見て微笑みながらそう言った。警戒されないように、できる限りやさしく笑ってみた。私の視界の中で、シノくんだけがこの部屋に馴染んでいなかった。制服姿の彼は、ひどく清潔そうだった。純粋にさえ見えた。汚したい。そう、思った。
 違うことって、どんな? シノくんは、首をかしげて私を見る。違うことは、違うことだよ。先に何するか言っちゃったら面白くないでしょ。だから、シノくんには内緒。私がそう言ったら、彼は小さくうなずいた。まるで私を信じちゃってるみたいな目をして。

 茅穂が何をしたか。気になったら、続きをどうぞ。

 シノくんのネクタイをはずして、それで彼の両手首を縛った。まるで自分がされたことを再現するみたいに。制服のままってのも、同じだもんね。おかしな茅穂。そんなことしてどうするんだろう。
 ベッドの上で、シノくんは少し困ったような表情を浮かべていた。縛った両手を上にあげさせて、私は彼を見下ろした。こんな風にされても不安じゃないのかな。茅穂を好きって言うから、茅穂になら何されても平気って思い込んじゃってるのかな。変なの。おかしなシノくん。
 「チホさん?」
 「黙っててよ。じゃないと、つまんないでしょ」
 素っ気無くそう言って、茅穂はシノくんの制服のパンツのファスナーをおろした。いつもと同じボクサートランクスタイプのシノくんの下着。少し触れただけでもう充血し始めているペニス。私を見るシノくんの濡れた瞳。信じないで。私はひどいことをしたいんだから。
 ペニスだけを出して、ベルトもゆるめずに。私はシノくんのペニスを口に入れた。少ししょっぱい。今日1日の彼の時間を想像する。でもそれはどうでもいいことだった。口の中でシノくんのペニスはどんどん大きくなっていく。いつも、すぐに元気になっちゃうシノくんのペニス。つまらない。もっと。なにか。
 シノくんの視線をさえぎるために、そばにあったスカーフで彼の目を覆った。頭の後ろで結んでしまうと枕の上で痛いかもしれないから、一応気を使って耳の後ろあたりで結び目を作った。シノくんは何も言わなかった。黙って私のなすがままにされていた。
 仰向けでベッドの上に横たわるシノくん。でもペニスだけが立ち上がっている。私は彼の制服のパンツと下着を脱がせた。靴下もなんとなく脱がせた。別に足の指に何かしたりはしないのだけど、靴下だけはいているのが変な気がしたから。
 裸の下半身を晒して、シノくんは静かに横たわっていた。私は彼の足を開かせて、その間に座る。そしてペニスを握って、ゆっくりとしごいてみた。
 ふと、思い立った。そっか。それでいっか。うん、そうしよう。ね、シノくん。
 シノくんには何の了解も得ずに、私は心の中でそう思った。

 シノくんのペニスはピンと硬くなって、今にもおなかにつきそうなくらい。無防備に開いた脚。私はベッドから降りて、ローションとローター、バイブを引き出しから取り出した。
 玩具は全部、リイチが持ってきたものだ。リイチは私の体に自分のペニスを入れずに、無機物を差し込むのがすきなサラリーマン。最近あまり会っていないけれど、彼が置いていった玩具には感謝してる。たまにほかのひととも使うことができるから。
 あまり太くないバイブがいいかと思ったのだけれど、子機のついていないバイブは残念ながら太めのしかなかった。だからシノくんには我慢してもらおうと思う。私の言ったとおり、じっと静かに口をつぐんでいるシノくん。かわいいと思うの、君のこと。でもそれと同じくらい強く、君のきれいさを憎んでいる私がいる。
 汚れちゃえ。そしたら、私のこと好きなんて言えなくなる。きっとね。

 私はローションを手にたらした。そしてシノくんのペニスにぬりたくった。一瞬、その冷たさに彼の体が震えた。でもシノくんは声を上げたりしなかった。私は無言のままで、ローションをたっぷりと彼のペニスに塗る。そしてローションにまみれた指で、シノくんのアナルを揉み解した。体を硬くしたシノくんは、何をされるかそろそろわかったかもしれない。でも抵抗はしない。どこまで、そうしていられるのかな。
 ローションをたっぷりとシノくんのアナルに塗りこんでいく。シーツがローションで汚れて、べたべたしている。何度か指を入れると、シノくんのアナルはひどく強張っていた。私はバイブにもローションをぬった。そして、シノくんのアナルにバイブの先を押し付けた。
 ひくついていたはずのシノくんのアナルは、バイブを入れようとするとひどく硬くてなかなか入らない。苦しそうな息遣いが聞こえて、私は舌打ちをした。ペニスは未だに勃起したままだ。
 「シノくん、力抜いてよ」
 やさしくもない声で私はそう言った。力抜けと言われても、抜きようがないだろう。茅穂だって初めて犯されたとき、そうだった。そんなの、知ってる。だから、意地悪のつもりで言うんだ。
 なかば強引に、バイブをシノくんのアナルに突き刺した。全部は到底入らない。カリの部分が中に潜り込んで、バイブの3分の1くらいが収まっただろうか。しわはピンと伸びきって、シノくんのアナルはこれ以上ないくらいに広げられている。
 私はスイッチをゆっくりと指で押していった。先の部分がローリングするバイブは、シノくんの中をえぐっていく。シノくんの体がベッドの上に逃げるようにずれた。逃げても無駄だってわかっていても、痛みから逃げようとしてしまう人間の体。そういうのって、かわいくて好き。シノくんは唇をきつく噛んでいた。声を、漏らさないように? 彼のそのまじめさ。尊敬できる。レベル。
 痛みのせいか、ペニスは弱々しく。私は右手でバイブを握り、左手の中にローターを。そしてローターのスイッチを入れて、シノくんのペニスを撫ぜた。亀頭の裏側をこすると、彼の腰は跳ねるように揺れた。ローションでべたべたに濡れているシノくんのお尻。私は抜けかけてきたバイブを力任せにもっと奥まで突き入れた。
 シノくんはすごくかわいそうに見えた。
 制服のワイシャツだけを着て、手首を縛られて、目隠しされている。やわらかい茶色い髪が枕に広がっていた。下半身にはバイブが刺さっている。ペニスはまた勃起して、ローターでいじられている。あわれになる。でもここでやめて、どうしたらいいかわからないから。私は、その行為を続けた。シノくんが悲鳴をあげたらやめようと思った。何か一言でも彼が声を出したら、そこでやめようって。あるいは、シノくんのペニスが射精したらやめようって。

 結局、シノくんは声を漏らさなかった。ペニスから勢いよく飛び出た精液が、シノくんのお腹の上にたまっていた。スイッチを切ったバイブが、まだシノくんのアナルに入ったままの状態で。
 私は写真を撮った。2回。それから、バイブをゆっくりと引き抜いた。コンドームをつけずにバイブを入れたことを少し後悔した。
 シノくんは肩で息をしていた。苦しそうだった。でも、彼は何も言わなかった。かわいそうなシノくん。でも、もういいよね。もうこれで終わりにしたいよね。私に会いにきたり、しないで。

 私が呼んでも、シノくんはもう私に会いにきたりしちゃいけないと思った。

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